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日本におけるがん診療ネットワークの再編:がん診療「拠点病院」とは何か、そして在日ベトナム人はどのように検索すべきか
日本は、専門的な技術や医療リソースを人材や症例数が十分な医療機関へ集約化する方向で、がん診療拠点病院制度の調整を進めています。注目すべき点として、小児がん診療体制の再編が予定されている一方、がんゲノム医療ネットワークの拡大が図られています。
2026年7月27日、厚生労働省は「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「がんゲノム医療中核拠点病院」の3つの主要体系における指定要件の改定について検討を行いました。これは、地域ごとの質の高いがん医療へのアクセスを確保しつつ、医療人材が限られる中で高度な技術を専門性の高い施設へ集約化させる取り組みの一環です。
これに伴い、「都道府県がん診療連携拠点病院」「地域がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「がんゲノム医療中核拠点病院」といった専門用語を目にする機会が増えています。日本に在住する外国人にとっても、転院や受診先を選択する際にこれらの名称の意味を理解しておくことが非常に役立ちます。
HICOとともに、これらの情報について詳しく見ていきましょう。
日本において、腫瘍内科やがん治療を行うすべての病院が同等に扱われているわけではありません。通常の診療を行う病院とは別に、日本政府は専門性、人員体制、治療実績、連携体制、緩和ケア、患者支援・情報提供などにおいて特定の基準を満たした医療機関のネットワークを構築しています。2026年4月1日時点で、厚生労働省が指定するがん診療連携拠点病院等は全国で計468施設存在します(都道府県がん診療連携拠点病院:51施設、地域がん診療連携拠点病院:357施設、特定領域がん診療連携拠点病院:1施設、地域がん診療病院:59施設)。
主な分類と役割の対応は以下の通りです。
日本語名称 | ベトナム語訳(参考) |
主な役割
都道府県がん診療連携拠点病院 | Bệnh viện cứ điểm liên kết điều trị ung thư cấp tỉnh thành phố | 都道府県内のがん医療ネットワークの中心となり、他の病院への支援・連携を担う |
地域がん診療連携拠点病院 | Bệnh viện cứ điểm liên kết điều trị ung thư khu vực | 地域において質の高いがん医療を提供し、二次医療圏の samme 中心的役割を果たす |
地域がん診療連携拠点病院(特例型) | Bệnh viện cứ điểm liên kết điều trị khu vực cho các ca bệnh đặc biệt | 拠点病院の要件を一部経過措置等で満たしている指定施設 |
特定領域地域がん診療連携拠点病院 | Bệnh viện cứ điểm liên kết điều trị ung thư khu vực trong lĩnh vực chuyên biệt | 特定の領域・がん種において高度な専門性や役割を持つ |
地域がん診療病院 | Bệnh viện điều trị ung thư khu vực | 拠点病院が未設置の地域等において、隣接する拠点病院と連携してがん医療を提供する |
小児がん拠点病院 | Bệnh viện cứ điểm ung thư trẻ em | 小児がんおよびAYA世代(思春期・若年成人)に対する専門的治療と総合支援を行う |
小児がん中央機関 | Cơ quan trung tâm ung thư trẻ em | 全国規模で小児がん診療ネットワークの調整・支援を行う |
がんゲノム医療中核拠点病院 | Bệnh viện cứ điểm hạt nhân về y học hệ gen ung thư | ゲノム医療の最集約拠点として、研究、治験・臨床研究、人材育成、他施設支援を行う |
がんゲノム医療拠点病院 | Bệnh viện cứ điểm y học hệ gen ung thư | 高度な専門性を持ってがんゲノム医療を提供・管理する |
がんゲノム医療連携病院 | Bệnh viện liên kết y học hệ gen ung thư | 中核拠点・拠点病院と連携し、ゲノム医療や患者ケアを実施する |
拠点病院とは単に「規模が大きい大病院」という意味ではありません。公的機関が明確な基準に基づいて指定した「機能」を指します。これらの施設は治療を行うだけでなく、連携体制の構築、患者・家族への相談支援、緩和ケアの提供、 home care(在宅医療)の支援、がん情報の提供などの責務を負っています。
今回の見直しで顕著な変更点の一つが、小児がん拠点病院に関する体制です。現行制度では、厚生労働省により15の小児がん拠点病院と2つの小児がん中央機関が指定され、小児およびAYA世代(15〜39歳)への包括的な医療と支援が提供されてきました。
2026年7月27日の検討会で提示された案によると、国立成育医療研究センターおよび国立がん研究センターを中心とする全国約10施設程度へ集約化される見込みです。ただし、「集約化」はすべての小児がん患者が遠方の病院にのみ通院しなければならないという意味ではありません。高度な知見や技術を要する診断・治療を中心的な施設へ集約化する一方で、治療後の経過観察、地域での生活支援、在宅医療、標準的な治療の一部は連携医療機関のネットワークを通じて提供するという役割分担の明確化を目的としています。
小児がんが専門機能の集約化を進めているのに対し、がんゲノム医療はアクセス機会の拡大を図る方向で調整が進んでいます。
重要となる技術の一つが「がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)」です。単に「肺がん」「大腸がん」「乳がん」といった臓器別の診断にとどまらず、がん細胞内の多数の遺伝子変異を網羅的に解析します。その結果に基づき、患者個々の遺伝子特徴に適合する分子標的薬、臨床試験(治験)、治療方針が存在するかを医師が評価します。2026年8月時点で、厚生労働省が公表しているネットワークには、がんゲノム医療中核拠点病院13施設、がんゲノム医療拠点病院32施設、がんゲノム医療連携病院258施設が含まれます。新たな方針のもとでは、中核拠点病院が国際共同臨床試験や技術開発により積極的に参画し、海外で承認済みの新薬が国内で使えるまでに時間を要する「ドラッグ・ラグ」の解消にも寄与することが期待されています。
国の「がん診療連携拠点病院」に指定されていない病院であっても、腫瘍科や専門医を擁し、手術、化学療法、放射線治療、経過観察を適切に行える施設は数多く存在します。一方で「拠点病院」の指定を受けている施設は、がん医療ネットワークにおいて特定の役割を担い、対応する基準を満たしていることを意味します。
そのため、病院を探す際は「どの病院が一番大きいか?」と尋ねるのではなく、「自分のタイプや進行度(ステージ)において、どのような機能を持つ病院が必要か?」と考えることが推奨されます。
たとえば、症状が安定している患者が毎月最高次の専門がんセンターに通院する必要はありません。逆に、稀少がん、再発例、ゲノム検査が必要なケース、治験や複雑な手術を要する場合は、より高度な専門医療機関へ紹介されることになります。これが「医療連携」の本来の意義です。
大阪府は同一地域内に複数のレベルや種類の「拠点」が存在する典型的な例です。
単にGoogleで病院名だけを検索するのではなく、手順に沿って確認することをお勧めします。
表示されている「指定区分」を見ることで、その病院の役割を把握できます。
日本におけるがん診療体制の再編は、「すべての病院がすべての治療を行う」体制から、「役割分担と医療連携」を重視する仕組みへの移行を示しています。ある病院で診断を受け、高度な手術や専門治療は別のセンターで行い、その後は自宅近くの病院に戻って化学療法や経過観察、緩和ケアを受けるといった流れが一般的です。
そのため、主治医から「専門施設へ紹介します」あるいは「拠点病院と連携して治療します」と説明されても、現在の病院の医療水準が低いという意味ではありません。最適な施設で適切な技術による治療を受けつつ、可能な限り生活圏に近い場所でケアを継続できるよう考慮された日本の医療システムの特徴です。
基準改定に伴い、最新の指定リストや分類は随時更新されます。実際に治療を行う際は、主治医の指示に従うとともに、Google等の口コミ情報だけでなく、厚生労働省や各都道府県の公式サイトで最新の情報をご確認ください。